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まだまだ匠のレベルではない だがしかーし!(プチ自慢?)

10月22日は「EN活フェア」参加の為、
“かおっとくさつ”は臨時休業します。何卒ご了承下さい。


古巣に居た頃の部下、N係長(笑いの神降臨どころじゃなく常駐)が以前

原付の鍵を曲げてしまい合鍵を作ってもらおうとしたら、
頑固そうな年配の鍵職人が遠目から曲がった鍵を一瞥しただけで
即座に合鍵を製作してしまい、しかもそれでちゃんと原付動いた


という話をしていました。
にわかには信じられない話ですが、テレビ番組等で鍵や鍵穴を映す際
必ずといっていい程モザイクが入っているのを拝見すると
事実なのかもしれません。
今日はそんな「極めればスゴい事になる」お話。

リサイクルショップや買い取り専門店では、ジュエリーの買取査定の際、
「石を(貴金属台座から)外してもよろしいでしょうか?」
と査定依頼のお客様にお尋ねする事があります。
結果的にお品を「壊す」事になってしまうので
私は極力、石は外さずに査定しますが…。
では何故、他社の買取業者様は貴金属に嵌っている宝石類を
お客様の目の前で外そうとするのでしょうか。

①貴金属部分の重さが分からない
ダイヤモンドは少なくとも地金の目立たない部分に「石目」と呼ばれる
カラット数(重さの単位 1カラット0.2g)が打刻されているので
引き算さえすれば貴金属部位の重量が簡単に判別するのですが、
色石の場合はカラット数が打刻されていない事も多いんです。
地金の値段が出ないと査定自体が思い浮かばない…
新人バイヤーだと「セオリー通り」に買うので、石を外してしまうでしょうね。

②真贋が分からない
貴金属が刻印通り正しく含有されているかを調べるのに便利なのが
「比重計」です。乾燥重量を量った後、お水につけてその浮力を見ます。
金やプラチナは非常に重い金属なので、比重も大きく出ます。
ただこれが無垢のリングではなく、宝石のついているものだとどうなるか。
石は総じて貴金属より比重が軽い、つまり「浮き」の代わりをしてしまうので
貴金属の比重を正しく計れなくなるのです。だから石を外そうとしてしまう。

③石やデザインに価値を見出せない “製品”としての販売方法がない
貴金属製品は総じて高価です。もちろんお買取り金額もそれに比例します。
チケット類であれば、誰が見ても価値に差異がほとんどないので
どのお店でもお買取り金額/再販売価格に違いはありません。
しかし宝飾・ブランド品には「競り」が存在する事からも分かる通り、
各商品に対する「評価」は千差万別。
どんな中古品でも再販できるお店と、貴金属はほとんど精錬会社まかせ、
即投げ(すぐ業者に売却すること)即投げでお金を回すお店では
買取価格に差が出るのも無理ない事。
そりゃー何でも潰しちゃいますって。

いくらお客様に「壊していいですか」と聞いて承諾を得ていても、
大事にしてきたジュエリーを目の前で壊すなんて…
逆の立場だったらと思わないのかな。

ここで本題(長いな)。
というわけで私は滅多にお客様からの貴金属買取査定において
「非破壊」をモットーとしているのですが、
そんな私にも「石を外して精錬(溶かしてインゴットにする)に回すしかない」的な
ジュエリーも存在します。
今回は複雑に石留めされた某半貴石(宝石としては左程希少ではない)の指輪。
石に価値は見いだせない、でもお客様の目の前で破壊したくない、
当然カラット数はリング内側に表記されていない…さてどうする?

こんな時は「概算」、見た目で重さを引いてしまいます。
勿論多めに引いてはいけませんし、少な目過ぎても損だけが残ります。
目算で難しいのは、石によって重さが違う点。
「地球外の物体か!」って思う位のずっしり石もあれば、
「塩化ビニールより軽いんじゃね?」と勘違いするレベルの超軽ものまである。
今回は…うーん、今までの経験則で言うと…案外大きいなー、さてどうしよう。
思案する事、5秒。
「このお石はお値段にならないので、○gだけ概算で引かせて頂きますが、
よろしいですか」
全く壊さずお買取り査定です。するとお客様もそのお値段で快諾。
無事お買取りができたのでありました。

お客様がお帰りになられてから数分後。
半貴石を外して…というか、あまりにがっちり入り組んでいるので、割ります。
パキっ、パキっ…さあ、緊張の一瞬。完全に無垢となった指輪を計測。

目算で引いた重さと実際の重さ、誤差0.07g(まぐれじゃなく、実力)。
すごくない? 結構な大きさでしたよ。私もしかして「平成の名工」に選ばれたり?

…誤差0gを連発しても選ばれたりしないわな、重量の目算なんか。
とりあえず誤差を今の半分にしないとお話にもならん。
頑張りますよ!

by kinkenya-kobutu | 2015-10-12 17:24 | Comments(0)