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100円の差にあるもの

ご存知の通り、金券ショップを含む全ての商売には人件費を含む全ての経費が
商品代金に含まれています。

今、新大阪~東京新幹線回数券の、都市部金券ショップにおける販売価格は
だいたい12900円前後くらいです。
店頭買い取りは12800円付近でしょうか(カレンダーにより上下します)。

つまり金券商は1枚最低100円の粗利が欲しいと思っているわけです。
(業者仕入れの場合は儲け50円くらい)
そこで仮定の話、

都会の一等地で、
十分な営業時間で、
優れたスタッフが、
ひとりで店番をして、
店頭で12780円(在庫数により調整あり)で買い取り、12800円で販売し、
他の商品も近隣店より高価買い取り安値販売したらどうなるか。

長蛇の列になるかも知れませんね。
人件費一人分だから、採算が合うかも知れませんね。

ただし、「優れたスタッフひとり」を確保するのは至難の業。
冷静に、正確に、高いモチベーションを維持し続ける事はなかなかできません。
第一そんなことができるスタッフを、いち現場スタッフには使えない。
普通の金券商にそんな人材的余裕はない。
自分が経営者なら、その子は最低でも部門長か役員に据えると思う。
現場を軽視するわけじゃないけど、
貴重なエース戦力を一人分の仕事になんか充てられません。


1回で1万円を超えるお取引をお客様としてるのに、儲けは50円。
(今現実起こっている話です)
それが100円安かったら、お客様は満足されるのでしょうか。
時間を掛けてでも並ばれるのでしょうか。

人件費を削り安価販売すること自体は「是」だと思います。
しかしそれは、恒久の「是」ではないハズです。
ご存知の通り日本経済は今、深刻な不況に陥っています。
お客様をお待たせしないよう素人に近いスタッフを複数雇い入れ、
継続的に雇用し、給料を払い続ける事も必要なのではないでしょうか。
金券商を経営したって、社長は豪邸に住めるわけじゃないし、
高級車を乗り回すことなどできるはずがありません(例外もいますが)。

結局のところ、大切なお金を払うのはお客様。
少しでも安いほうがいいと仰るのであれば、それはひとつの「正解」。
ただそれでも私は、

商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
(近江商人「商売の十訓」より)

を心で復唱しながら、
お客様にご納得頂けるような利益を堂々と頂いて生きていきたい。

今以上の安売り合戦が、真に世の中のためにならない事と信じて。

by kinkenya-kobutu | 2010-06-14 09:34 | 古物商としての葛藤 | Comments(6)

Commented at 2010-06-14 23:12 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kinkenya-kobutu at 2010-06-15 02:32
↑ 左様伺っております。
貸〇法改正のこともありますし、何とかWINWINになるように相場は持ちこたえて欲しいものです。
相場が崩れた都市部で仕入れ、崩れていない郡部に流すパターンはここ暫く続くでしょうが、
いかんせん郡部は人口が少ないから売る力も弱い。「手詰まり」もそう遠くないかも。
Commented by ちょんまる at 2010-06-15 21:59 x
まいどです(^-^)
安易な安売りは「世のため人の為」という隠れ蓑をかぶった「自分の店だけの為」だと思います。
だからあのキップのあの価格は何が何でも貫いてください(笑)
Commented by kinkenya-kobutu at 2010-06-16 08:33
↑ お疲れ様です。
   皮肉…ではなく、エールですよね(苦笑)。

   ありがとうございます。これからも微力ながら己に掲げた理念を追い求めていきます。
Commented at 2010-06-16 09:20 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kinkenya-kobutu at 2010-06-16 09:27
↑ らしいですね。ウチは高値買い部分を投げてますので、これからは腰を据えてじっくり集めます。