ちゃんとやってれば、ちゃんと貸してもらえます
業界イメージの事を考え、思い切って触れてみます。
先日、ある金券ショップが閉店しました。
そこは、ある独創的な買取方法を行っていたことで、「知る人ぞ知る」お店でした。
興味があって何年か前、大阪に行ったついでにそのお店を覗いたことがあります。
その時の印象が、
(何で成り立つんだろう?)
そんな感じでした。
以下は一応、プロの私から見た「あのお買取り」に対する疑問点です。
1 時間劣化、相場劣化しやすい新幹線回数券で「回していた」のはなぜか
確か「東京~新大阪」の回数券がメインでした。
これを一定期間買取金受け渡し時期をズラすことにより、原価以上でお買取りをする
システムだったように思いますが…。
今、プロが一般のお客様に販売している価格が確か「12,900円(梅田)」。
これって原価の97.4%なんです。
いかに「C」で買えて簡単に持ち込める同商品だからこそ集まるという理由があっても、
こんなに価値が劣化するもので「回す」のか、いや「回る」のでしょうか。
「C」のお客様から広く商品を募り、売却し換金するまで支払いを待ってもらい、回す
たぶん基本コンセプトはこうでしょう。ならば、
簡単には買いにくく、入手しづらく、相場劣化しにくく、定価以上で売却できるもの
を選択するべきでしょう。例えば在来線回数券で「大きさ」を指定するとか。
(それでも100%以上でお買取りすることは困難)
JRの券売機系が弱い路線で、必ず長時間みどりの窓口で並ばなきゃいけないとか。
「資金の一時確保」「仕入れ経費の削減」「貴重商品の安定確保」ぐらいメリットないと
恒久的に続けられないと思います。
(あくまで個人の意見です 正解かどうかは分かりません)
2 ちゃんと営業していれば、正規に銀行から融資を受けられた筈
前にもどこかで触れたかも知れませんが古物商、特に金券屋は
銀行からの融資を受けやすい業種です(駆け出しの時とかは除く)。
よっぽど大博打を打ってない限り、案外あっさり融資は降ります。
だって、商品は換金しやすいものしかないから。
焦げたらすぐ在庫を確保して、他の金券屋を呼べば済みます。それで回収。
(実際に銀行がそこまでする気で貸しているかは分かりませんが)
こまめに何度も借りて何度も返せば、すぐ信用も高まりますしね。
だから総じて金利も低い。どんなに高くても
保証協会(分からない方は調べて下さい)の分込みで年3%以下
ぐらいです。中にはエライ安く借りておられる同業者さまも(書けません)。
JALの「つなぎ融資」が年10%(これは特別高いですけど)を考えれば
金券屋向けの融資がどれだけ有利かお分かりでしょう。
でも、ここまで安くしてもらえないと借りる気がおきない位儲からないのも事実。
1000万借りてその資金を月2回転回し(もちろん複利)、1年後30万の利息を
銀行に渡すと、残金は原資を抜いていくらになるでしょうか?
(儲けは1回転につき2% 1年間経費は一切抜かないものと計算して)
578万くらいです(間違ってたらすみません)。
「1000万スタート」も「2%儲け」も「資金1ヶ月2回転」も無理な数字じゃないです。
(対ブローカーだと儲けは0.5%ぐらいかも知れないが、2回転どころじゃないし)
もっと楽観視してもいい。
であれば。
開業何年目かのショップが「あの買取システム」をするってどうなんでしょうか…。
「あのお店」と接点がなかったんで真実は全く分からないんですけど、
やはり無理のあるお買い取りだったのではないでしょうか。
商品を預けられているお客様が、
よりご納得できるような展開になることを心よりお祈りしております…。
最後に、
私の知る限り金券業界の同業者さまの多くは、今回の一件でさらに
金券ショップに対する世間一般のイメージが悪くなることを懸念しております。
それはある意味、避けられないことだとは存じておりますが、
一部の口さがない方が仰られるような、
「金券屋なんて、サラ金の受け皿でダークな商売だ」
「どうせお金に困ってる人から商品買い取って、生き血すすってる」
そんな気持ちで商売はしておりません。
確かに営利のために商いをしておりますが、商品を売却されるお客さま、
そして商品を買い取らさせて頂く私ども、
できれば「WINWIN」の関係でありたいと、ほとんどの金券業者は考えております。
事実、私どもに商品をご提供頂くお客様の「総買い取り金額」の内、
弊社に商品を売って「急場を凌ぐお客様」より、
「総合的に資産が増える」お客様の方が多いんです。
もちろん、どちらのお客様も私どもにとってはかけがえのない存在なのですが…。
これを他山の石と思わず、これから少しでも金券業界のイメージが良くなるよう、
さらに精進したいと思います…。
by kinkenya-kobutu | 2009-11-28 09:25 | 古物商としての葛藤 | Comments(12)
それをクリアせず商いが完成したら、それはもう「商売」じゃなくて「錬金術」のレベルでしょう…。
そうそう、東京じゃ、年賀はがきを「45円」でバカ売れしてしまい、商品不足気味の傾向です。。。。。。。。